GISにおけるラスターデータとベクターデータとは?

試験対策

測量やGIS(地理情報システム)を学び始めると、「ラスターデータ」と「ベクターデータ」という言葉を必ず目にします。どちらも地理空間情報をコンピュータ上で扱うための基本的なデータ形式ですが、表現方法や得意分野が大きく異なります。
GISを正しく理解するためには、この2つの違いを押さえることが重要です。測量士試験でも頻出のテーマであり、実務では用途に応じて使い分けが行われています。

GISにおけるラスターデータとベクターデータとは?
GIS(Geographic Information System:地理情報システム)では、地図上の情報を主に次の2種類の方法で表現します。
ラスターデータ(Raster Data)
ベクターデータ(Vector Data)
簡単にいえば、
ラスターは「面の集合」で表現する方法、ベクターは「点・線・面」で表現する方法です。
ラスターデータとは?
ラスターデータとは、地表を小さな格子(セル、ピクセル)に区切り、それぞれの格子に数値を持たせて情報を表現するデータ形式です。
テレビやスマートフォンの画面が小さな画素(ピクセル)の集まりで画像を表示しているのと同じ考え方です。
例えば、航空写真では、
1つのセル=1つの画素
各セルに色の情報
各セルに標高値
各セルに温度や降水量
などの属性値を持たせることで地表の状態を表現します。
ラスターデータのイメージ
□ □ □ □ □
□ □ □ □ □
□ □ □ □ □
□ □ □ □ □
この1つ1つの□(セル)に値が入っています。
例えば標高データなら、
120 121 122
118 119 120
115 117 118
のようになります。

ラスターデータの特徴
1.連続的な現象の表現が得意
ラスターは、空間的に連続して変化する情報の表現に優れています。
例えば、
航空写真
衛星画像
標高モデル(DEM)
傾斜量
降水量分布
気温分布
土地被覆分類
などです。

これらは「どこからどこまでが境界」と明確に区切りにくいため、セル単位で表現する方法が適しています。

2.構造が単純
規則正しい格子状のため、データ構造が比較的単純です。
そのため、
画像解析
オーバーレイ解析
数値シミュレーション
などの計算処理を高速に行える場合があります。

3.データ容量が大きくなりやすい
高精細な表現を行うにはセルサイズを小さくする必要があります。
しかし、
1mメッシュ
50cmメッシュ
10cmメッシュ
のように細かくするほどセル数が増え、データ容量も大きくなります。

ベクターデータとは?
ベクターデータとは、位置情報を座標によって表現するデータ形式です。
GISでは、
点(Point)
線(Line)
面(Polygon)
という3つの基本要素を用いて地物を表現します。

ベクターデータの表現方法
点(Point)
位置のみを持つデータです。

基準点
水準点
電柱
消火栓
樹木


線(Line)
複数の点を結んで表現します。

道路
河川
鉄道
上下水道管

●────●────●
面(Polygon)
閉じた線によって領域を表現します。

土地の筆界
建物
公園
湖沼
行政区域

□□□□
□ □
□□□□
ベクターデータの特徴
1.形状を正確に表現できる
ベクターは座標値で管理されるため、境界を高精度に再現できす。
例えば、
土地境界
道路中心線
建築物外形
など、形状の正確さが重要な業務に適しています。
2.データ容量を抑えやすい
必要な座標だけを記録するため、単純な地物ではラスターより容量が小さくなることがあります。
特に、
点データ
道路ネットワーク
筆界データ
などでは効率的です。
3.属性情報との連携が容易
ベクターデータには、地物ごとに詳細な属性情報を付加できます。
例えば建物データなら、
建物ID/用途/階数/所有者
001/住宅/2階/○○
002/店舗/1階/△△
のような属性テーブルを関連付けることができます。
これにより、
条件検索
集計
統計解析
などが容易になります。

ラスターとベクターの違い
項目
 ラスターデータ/ベクターデータ
表現方法
 セル(ピクセル)/座標
基本要素
 格子状データ/点・線・面
得意分野
 連続量の表現/境界や形状の表現
代表例
 航空写真、DEM、衛星画像/道路、建物、筆界
容量
 高解像度で大きくなる/比較的小さい場合が多い
解析
 画像解析に強い/検索・集計に強い
精度
 セルサイズに依存/座標精度に依存
実務では両方を組み合わせて利用する
GISの実務では、ラスターとベクターのどちらか一方だけを使うことはほとんどありません。

例えば、災害調査では、
航空写真(ラスター)
建物ポリゴン(ベクター)
道路データ(ベクター)
標高データDEM(ラスター)
を重ね合わせて解析します。
また、公共測量成果でも、
オルソ画像:ラスター
数値地形図:ベクター
として管理されることが一般的です。
それぞれの長所を生かしながら組み合わせることで、より高度な地理空間解析が可能になります。

測量士試験でのポイント
測量士試験では、次の点を押さえておくと得点につながります。
ラスターは「セル(画素)」で表現する。
ベクターは「点・線・面」で表現する。
航空写真やDEMはラスター。
道路や筆界、建物はベクター。
ラスターは連続量、ベクターは明確な境界表現が得意。
実務では両者を重ね合わせて利用する。

まとめ
GISにおけるラスターデータとベクターデータは、地理空間情報を扱うための二大データ形式です。ラスターデータはセルの集合として地表の連続的な現象を表現し、航空写真や標高データなどに適しています。一方、ベクターデータは点・線・面によって地物を正確に表現し、道路や建物、土地境界などの管理に優れています。
両者の特徴を理解することは、測量士試験対策だけでなく、GIS実務や地理空間情報の活用においても重要です。「ラスターはピクセル」「ベクターは点・線・面」という基本を出発点として、それぞれの得意分野と使い分けを身につけておきましょう。

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